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セミナー速報

中西です。速報を以下、文章がだめだめですが、まずはどんなことが話されたかを伝えたくてここにあげます。
通訳のレベッカさん、お手伝いいただいた多くのみなさま、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

中之島図書館文芸ホールでは国際交流セミナー『ブックアートをめぐって』と題して、日本とアメリカとコスタリカのブック・アートシーンが交差しました。

最初に中西が、大阪のアートNPOのひとつ「大阪アーツアポリア」がペヨトル工房のコレクションを持っていること、アートの本があることで、人々が集い場がつくられていくのではないかと考えていたことなどを話しました。さらには、今回の企画メンバーと調べる中で、日本ではじめてのブック・アートを紹介する展覧会は、今回招聘したニューヨークのフランクリンファーネスのコレクションを紹介した「アーティスト・ブックU.S.A.芸術家による手づくりの本」(1979年)であり、その会場が西武美術館であったこと。また、日本では、やはり今回招聘した、関東に活動拠点を持つ篠原さん企画の「THE LIBRARY展」が、長く日本のシーンを担ってきたことなどを、簡単に紹介しました。

↓篠原さん
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次に登場したのは、篠原誠司さん。「THE LIBRARY展」について、画像を多くつかって紹介してくださいました。さらには、80-90年代の日本のインディペンデントなブック・アートシーンについて話しました。篠原さんの試論は、欧米のブックアートは1950−60年代のマルチプルから70年代にブックオブジェに向かった欧米のシーンと違い、日本は1960-70年代のブックオブジェから、1990年代にマルチプルや出版に向かっていったとのこと。また、ブック・アートシーンとは違ったシーンとして考えられている、少部数のミニコミ紙をあつかっていた東京の動きについても少し触れました。この点については終了後の飲み会で、さらに深い話になりました‥‥。

↓マーサさん
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前半の最後、三番目はマーサ。1902年、イタリアの未来派宣言から話ははじまりました。日本ではあまり知られてないように思うのですが、未来派宣言はビラとして、ベネチアの教会の上から人々に向かって大量にバラまかれたとこと。これが、フランクリン・ファーネスが考える、アクティビスト系パフォーマンス(?)が伴ったブックアートのルーツと言えるということで、その次に、ジェニーフォルツアーの参加型インスタレーションが紹介されました。さまざまな作品を紹介しつつ、それぞれに、その時代のアーティストが一人の市民として向き合っていた社会問題と切っても切り離せないものであり、それゆえに、発表の場面でさまざまな問題があったことなどを、紹介しました。

休憩をはさんだ後半は、アーティスト2人の発表です。

↓松井さん
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松井智惠さんは、「本と私」というテーマで、自身の創作活動について話しました。まずはじめに、松井さんが出品した、はじめての海外での、日本ブックアートシーン紹介展「Arts't Book:Japan」(1985年)の思い出から話されました。その展覧会はフランクリンファーネスを会場としました。その時に松井さんは渡米せず、従ってフランクリンファーネスのマーサにも会っていません。なんと20数年の時間をへて、今回、松井さんはマーサに会ったとのこと。また、自身がつくった折り本の作品を紹介する時に、折り本のルーツが8世紀の中国であり11世紀には印刷技術の発達とともに多くひろまったとのことも話しました。そして、自身の幼少の頃からの読書体験につながる現在の「ハイジ」シリーズの作品を、映像とともに見せました。

ラストはロセラさんです。タイトルは、イトヘンでの個展と同じ「リフレクト・アクション」。多く語るより、映像を見せますとのことで、コスタリカの熱帯雨林の写真にはじまり、歴史的な建造物の中でパフォーマンスをしている様子や、カッコいいドローイングの数々と、ベネチアビエンナーレではじめて発表した「大きな本」などななど、現代音楽風(コスタリカの?)のBGMとともにたっぷり見せてくれました。それは、日本や欧米と、それまでに話してきたシーンとは、また違うシーンといえました。

そんな感じで、全体的に駆け足の発表で、まだまだもっともっと広げれる内容ばかりで、ああ、やっと交差しはじめたな〜という感じだったかもしれませんが、日本でシーンを立ち上げた篠原さんや、ニューヨークで最先端のアンダーグラウンドシーンを担ってきたマーサ、一人の美術家として日本で活動してきた松井さん、コスタリカで活動してきたロセラ。それぞれの活動背景が、交差する貴重な時間でした。

このセミナーの様子は、後日、たっぷりの注釈付で、ドキュメントブックに収録したいと思います。
深くつっこめなかったトピックを注釈でフォローし、濃い内容に仕上げます!
ご期待ください!
by bookartpicnic | 2010-01-25 08:51 | ブックアートピクニック2009