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第三回研究会:レポート

第三回研究会


日時:2012年4月22日(日)14:30〜
会場:池田朗子さんのアトリエ
参加者数:13名(アーティスト、研究者、愛好者、アートNPOスタッフ、大学院生等)
発表内容:

■発表1
池田朗子(美術家)
「できるかな/絵本をつくりたい」
育児をきっかけに絵本に興味を持った池田さんが、我が子の反応もとにした絵本分析を、自らの子ども時代の思い出も交えながら報告。また、そのような分析を踏まえて、写真をつかった現代美術作品を生業とする池田さんが、「幼児向け絵本をつくるならこんな感じにしたい!」というアイディアの発表があった。
参加者からは、各自の絵本に関する思い出や、画家としても有名な元永さんの画業と絵本の仕事との相違に関するコメントなどがあった。

紹介された本
・『ぐりとぐら』中川季枝子・文、大村百合子・絵
・『もこもこもこ』谷川俊太郎・文、元永定正・イラスト
・『おおきい ちいさい』元永定正・さく
・『がちゃがちゃ どんどん』元永定正・さく
・『ごぶごぶ ごぼごぼ』駒形克己・さく
・『おつきさまこんばんわ』林明子・さく


■発表2
福本浩子(美術家)
「THIS IS NOT A BOOK?-『これは本ではない』展の報告を中心に」

展覧会『これは本ではないーブック・アートの広がり』(2010年11月20日~2011年1月23日:うらわ美術館、2011年2月26日~3月27日:福井市美術館)の出品作家の一人である福本さんが、展覧会図録にそって作品ひとつひとつについて解説。探偵ナイトスクープに出演経験もある、おもろキャラの福本さんの口調に引きこまれ、何度も爆笑しながら、参加者一同は展覧会に想いを馳せた。
また、聞き手の森下さんは、1975年出版の『これは本ではない』(清水徹・編集、白倉敬彦/エディシオンエパーヴ・発行)を持参し、この展覧会『これは本ではない』というタイトルは、出品作品の《THIS IS A BOOK》(柏原えつとむ、1970年)をコンセプトの中心に据えているというよりは、キュレーター森田一による、35年越しの、白倉さんへの返答ともいえる展覧会ではなかったのか、とコメントをした。そして、1975年と2010年の『これは本ではない』は、大きさは違うものの、裏表紙のグレーが似ていることを参加者一同で確認した。
さらに、この2010年の『これは本ではない』展覧会図録の「関連年表「これは本ではない」のための年表」」には、1979年に西武美術館で開催された『アーティスト・ブックU.S.A. 芸術家による手づくり本』が抜けている。そして「「本をめぐるアート」の関連事項を網羅するものではない」と断り書きがある。当研究会としては、現在の日本のブックアート及びその関連表現において1979年の展覧会は非常に重要な展覧会だったと考えている。しかし、この2010年の展覧会図録の年表にはない。この図録編集者が、どのような研究意図を持って年表制作をしたのか知りたいとの意見も。そして「年表では網羅できないからこそブック・アートっておもろいんやん!!」とツッコミを入れつつ大団円に。(一部脚色!?)

紹介された本
・『これは本ではないーブック・アートの広がり』2010年
・『これは本ではない』1975年

■次回は8月頃です。詳細未定。


絵本「もこもこもこ」の読み聞かせに集中する参加者
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福本さんは右から3人目です。
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二冊の『これは本ではない』。小さい方が1975年、大きいほうが2010年
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by bookartpicnic | 2012-04-23 21:57 | 研究会