第一回研究会:レポート

第一回研究会

参加者:17名(アーティスト、グラフィックデザイナー、文系(?)研究者、愛好者、アートNPOスタッフ等)

■登久希子(人類学)「ポーランドのブック/アート事情」(仮)
登さんが人類学のフィールドワークで滞在したポーランドで出会ったアーティスト・ドロタさんの活動と、彼女の“ブックアート”的な作品紹介。ドロタさんは、ポーランドの首都ワルシャワにあったベトナム人移民が多く商店を営むマーケットで、路上パフォーマンスというか、露天型コミュニケーションアートをしたこともあるそうです。そんな彼女の“ブックアート”的な作品も、コミュニケーション型。ドロタさんが描いた絵と、国籍や文化背景が違う人たちの言葉が、任意につながる物語絵本のようなもの。実際の作品の本も、研究会参加者に閲覧されました。

著者(アーティスト):Dorota Podlaska
本(展覧会)のタイトル:Zagubione w tłumaczeniu (Lost in Translation)
発行:BWA Galeria Sztuki w Olsztynie, Poland
印刷:Gutgraf

■ふるさかはるか(版画家)「ノルウエーで見つけたブックアート」(仮)
ふるさかさんが、アーティストインレジデンスで滞在したノルウエーの北極圏の村の名前はマーツェ。そこは、サーミ人という少数民族の村なのだそうです。ふるさかさんは、サーミ人の文化に注目し、カウトケイノという町のサーミ大学の図書室と、カラショークという町のサーミ議会の図書室で、見つけたサーミ語で書かれた、視覚障害者向け絵本1冊とアーティストブック2冊を、画像を交えて紹介しました。

著者:アネット・ディーセン(Anette Diesen) (1953-)
タイトル:『ニルスとマティスじいさん』("Nillas ja Máhtte-áddjá")
発行年:1996

著者:ブリッタ・マラカット・ラッバ (Britta Marakatt-Labba) (1951-)
タイトル:『刺繍された物語』("Sággon Muitalusat")
発行年:2010

著者:ニルス・アスラク・ヴァルケアパー (Nils-Aslak Valkeapää)(1943-2001)
タイトル:『ザ・サン、マイファーザー』("Beaivi Áhčážan")
発行年:1991

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■森下明彦(メディアアーティスト、美術愛好家)「ブック・アートを巡る言説の歴史―その1」
森下さんは、そもそもブックアートと呼ばれるジャンルが確立したきっかけは、イタリアにあるとし、美術評論家のGermano Celantの著書を紹介。他のブックアート参考文献もあげつつ、Celantが、アルテポーヴェラの名付け親でもあることや、この"Book As Artwork 1960/1972"には、有名なコンセプチュアルアーティストの初期作品の引用が多く、なのに全く画像がなくテキストだけで、読み進めるのに忍耐力がいるね、という話に展開していきました。研究会参加者も、いい意味でシンプル、率直に言うとそっけない手のひらサイズの薄っぺらい本を実際に手に取り閲覧しました。

著者:Germano Celant
タイトル: "Book As Artwork 1960/1972"
出版社:Nigel Greenwood Inc.
出版年:1972

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○研究会参加者Aから、「ジン」って最近聞くけど、何なのか?という疑問があがり、それに対して、いくつかの意見が出ました。また参加者Bが、参考図書として以下を上げました。

著者:アリスン・ピープマイヤー
タイトル:『ガール・ジン 「フェミニズムする」少女たちの参加型メディア』
訳者:野中モモ 訳
出版:太田出版

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○次回の報告者を募ったところ、以下三名となりました。
城戸みゆき、蛇谷りえ、森下明彦

○後日談。ふるさかさんは「“記録”と“配る”というブックアートの機能が、パフォーマンスアートにフィットする」と、のぼりさんと、森下さんの発表を聞いて思っていたそうです。

(レポート:中西美穂)
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by bookartpicnic | 2011-09-06 20:40 | 研究会