ふるさかです。レポートが遅れましたが、24日(日)に日本橋の應典院にてブック・アート・ワークショップA~素材を交換して本をつくろう!~を開催しました。参加者は21名。ロセラさんは、いつも即興的にアイデアを思いつくアーティストなので、打ち合わせする中でアイデアを話し合い、スタッフ達もどんなワークショップになっていくのかドキドキしながら始まりました。
まずは参加者の心と身体をほぐすため、瞬間的に描くドローイングから始まりました。明るいと暗い、生と死など、ロセラさんが用意してきた反語からうけるイメージを、考えるのではなく、20秒の即興で描きます。最初は戸惑いながらペンを動かしていた参加者の皆さんでしたが、「More intence!(もっと強く!)」というロセラさんのかけ声に後押しされるように、スピードにのって心がだんだん解放され、のびのびとしたドローイングが次々と描かれていきました。そのスピードたるや、用意した紙がすぐになくなってしまうほど。ボランティアスタッフのみなさんが、大急ぎで紙をカットしてくれました。
心と身体が解放されてきたところで、描き上がったたくさんのドローイングの中から一番気に入ったものを各参加者が選びます。そしてそれを他の参加者20枚分手描きでコピーしていきました。ロセラさん曰く、「めんどくさい!」と言われるのではないかと少し心配していたのですが、皆さんさくさくとコピーを仕上げてゆく様子は、ドローイングを反復することで、言葉から受けた瞬間的な印象を反芻しているかのようでした。
21枚のドローイングをコピーしたら、次はそれを参加者全員で交換します。手元に集まった全員のドローイングと言葉を、今度は頭を使って並べ替え、自分だけのストーリーを編み出していきます。ここでいよいよ皆さんが持ち寄った切り抜きなどの素材が登場。ドローイングとドローイングの間に、思い思いの素材が挟み込まれ、貼付けられ、ストーリーがどんどん豊かな色彩を帯びてゆきます。
そしてタイミングよくコスタリカのコーヒーが振る舞われ、皆さん頭が冴えて、どんどん本の世界の中へ没頭していきました。静まった部屋には、コスタリカのシックな音楽が響き、そこに流れる時間の密度が深まっていきました。最初はどんな本ができていくのか、誰も予想がつかなかったのですが、ロセラさんの描いたアウトラインに導かれできていく本は、今ここに流れている時間と直感をシェアするという哲学的な作品となりました。
最後は出来上がったそれぞれの作品についての発表です。3時間かけて作り上げた本のストーリーは濃密で、それぞれのページにこめたアイデアを、ひとりひとり丁寧に話してくれました。同じドローイングを共有しながらも、どの本も全く違う。そしてそれぞれの本の世界についてうれしそうにお話しているを聞いていると、本は私たちの中にある複雑な世界観を、解きほぐして表すことができる表現方法なんじゃないかなと思えました。
言葉にならない哲学を参加者の皆さんも肌で感じていたためか、とても充実した時間を過ごせたとの感想をたくさんいただきました。あと、予想外の展開がとても面白かった、自分を解放することができた、とも。いやはや、ロセラさんの導く世界へみんなでワープしたようなワークショップ、そのおみやげは世界に一冊しかない本でした。
by bookartpicnic
| 2010-01-28 11:23
| ブックアートピクニック2009