「オブジェの方へ」展(うらわ美術館)と「THE LIBRARY」展(静岡アートギャラリー)

 コーディネーターのふるさかです。埼玉、静岡で開催されている2つのブック・アートの展覧会を観てきました。

 1つ目はうらわ美術館の展覧会「オブジェの方へ」展。コレクションの「本をめぐるアート」を一同に鑑賞できる開館10周年記念展でした。未来派などの西洋のブック・アートに始まり、マルセル・デュシャンの「グリーン・ボックス」や「トランクの箱」、フルクサスの「フルックスキット」、「フルクサス1」などの20世紀の代表的なブック・アート作品に交えて、若林奮さんや村岡三郎さんなど日本の代表的なブック・アート作品が紹介されていました。ほとんどの作品は展示ケースにおさめられ、各作品の世界がスポットを浴びて並んでいる静かな空間は、本の展示ならでは。中でも個人的に目を引いたのは福田尚代さんと安部典子さんの、レディメイドの本を切ったり折ったり手を加えた同時代の作品でした。

 足利市立美術館の篠原誠司さんのご紹介で、うらわ美術館学芸員の方に私たちの企画を紹介させていただいたところ、特にフランクリン・ファーネス・アーカイブ・コレクションに強いご関心をお寄せの様子でした。アーティスツブックのコレクションというブック・アート史上パイオニア的役割をはたしてきた同コレクションを日本で初めて展示し、主宰のマーサ・ウィルソンさんからお話を伺う今回の私たちの企画は、やはり貴重な機会になるということを改めて確認しました。

 もう一方の展覧会は、静岡アートギャラリーでの”触れるブック・アートの展覧会”、「THE LIBRARY」展。訪ねたのは展覧会の最終日で、その日をもって静岡アートギャラリーは閉館し、次年度からは静岡市立美術館として再出発するとのことで、たくさんの方が訪れていました。こちらの展覧会はうらわ美術館と違って、すべての作品が触ってくださいと言わんばかりに展示台の上に並んでいて、普段作品には触れてはいけないと思っていることを覆されているような、どきっとする触覚的展覧会でした。たくさんの来場者も作品を手に取れるとあって、ひとつひとつ立ち止まり丁寧に鑑賞していました。展示作品は、手製本からテキスト中心のもの、レディメイドに手を加えたもの、本をテーマにした彫刻など形態は様々で、ゲストキュレーターの篠原誠司さん曰く、本だけを作っているのは46名の出品アーティスト中たったひとり。ブック・アートという表現方法は、美術のジャンルの中でもオルタナティブな位置にあるのと同じように、アーティストにとっても主軸の作品を補う表現方法なのだと感じました。

 会場に駆けつけたアーティストや学芸員の方々に私たちの企画をご紹介すると、チラシのロセラさんの大きな本にご関心をお寄せいただいている様子。中にははるばる大阪まで見に行きたい、中之島図書館知ってます、あの古い本があるところ!といってくださる方も。ブック・アートの友情は地方を超える(笑)というか、本と美術を愛する人とたくさんお目にかかることができた展覧会でした。

 中継地点の東京では、総合チラシをデザインしてくださった言水ヘリオさんが、アーティスト3名と鍋をするというので伺ってみることに。言水制作室の隣の部屋の引き戸をガラガラあけると、真っ白の空間にお鍋を囲んだ皆さんが。これからここでオルタナティブスペースを始めるとのことで、その名前を決める会合を目撃してきました。結局名前は決まらなかったのですが、記念すべき初のイベントは、光栄なことに裏ブック・アート・ピクニック。私たちの企画と同じ時期に、東京・神保町で本にまつわるアートイベントを計画してくださっていました。そんな立ち上げメンバーのほとんどの方が、私たちの国際交流セミナーを見に行きたいですと、またまたご関心を寄せてくださっていました。しかも国際交流セミナーのある週末には、大阪ではココルームさんや應典院さん、国立国際美術館で強力なアートイベントが開催される時期とあって、関西の外からも参加者が多く来阪する可能性が高いことが判明。寒い時期ですが、大阪はアートでほっこりする1月になるんじゃないかと、わくわくしながら帰阪した次第です。



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THE LIBRARY展の様子

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THE LIBRARY展の様子
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by bookartpicnic | 2009-12-22 16:14 | ブックアートピクニック2009